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片山晋呉のキャディに「クワヤマサツキ」? その正体は…ステップ1勝のルーキー!

<〜全英への道〜ミズノオープン 事前情報◇25日◇JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部(岡山県)◇7461ヤード・パー72>

毎試合メディア向けに発表される“帯同キャディリスト”。そこでは出場する選手のうち、ハウスキャディではなく選手自身が選び、登録したプライベートキャディの名前がずらりと並んでいる。「〜全英への道〜ミズノオープン」のその帯同キャディリストをチェックしたら、ある名前が目に入った。

片山晋呉の帯同キャディとして登録されている「クワヤマサツキ」。確認してみると、2021年11月のプロテストに合格したばかりのルーキー、桑山紗月だった。今季は下部のステップ・アップ・ツアーが主戦場となるが、「九州みらい建設グループレディース窓乃梅カップ」でプロ初の優勝を遂げている。期待のルーキーがなぜ男子ツアーに? そしてツアー31勝で永久シードを持つ片山のキャディを務めることになったのか?

「冬に一緒に合宿させてもらって。そのときに『ここのコース(JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部)苦手だからしゃべり相手になってよ!』って言っていただきました。わたしもちょうど空き週だったので、それでぜひとお願いしました」。なんと片山からの直接オファーだったことを明かした。

初めてのキャディで緊張もあるが「すごい楽しい」と口にする。「晋呉さんが右側の打席から練習したいと言っていて…」と、プロアマ戦終了後にはすぐさまレンジに向かい、その場所を確保。練習風景を覗いてみるとティアップをして打つドリルを行う片山を、桑山はティアップ場所にボールを置いてしっかりとサポートしていた。途中スイングチェックのために動画撮影を行うなど、その姿は“プロゴルファー”ではなく、まさに“キャディ”だった。

そして時々、片山の後輩想いの様子も見られた。スイングチェックをする際には「一緒に見ようよ」とふたり並んでひとつの画面をのぞき込む。そして片山は動画を再生して巻き戻してを繰り返しながら「このタイミングでこうなっていればOK」といったようなスイング分析を共有していた。

それはコースでも同じだと桑山は話す。「本当にいろんなことを学んでいます。『3バウンド目でスピンかかるから見ていて』と言って打ったアプローチで、本当にスピンがかかるんですよ。『女子だったらこうしたらいいかもね』という話もしてくれます」。トッププロがどのようにコースを攻略しているのか、なにを考えて打っているのか、どういう技術が必要なのか。片山は分かりやすい説明を織り交ぜながら“背中を見て学べ”と言わんばかりのショットを繰り広げていく。「晋呉さんのようなアプローチができるようになったら強くなれるんだろうな、と思いました」。桑山は片山の技術を盗み、自分のスキルと経験を積み上げていく。(文・笠井あかり)

桑山にとって貴重な一週間。学びの場でもあるが、でもまずは、キャディという立場を忘れない。成績上位4人に与えられる海外メジャー「全英オープン」の切符を片山に与えるべく、“しゃべり相手”としてサポートをしていく。

<ゴルフ情報ALBA.Net>