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トップの頭の動きに注目 B・ケプカら世界の飛ばし屋の共通点はここだった!【ミキヤ初優勝への道】

渋野日向子の全英女子オープン優勝に加え、松山英樹がマスターズ優勝と、近年まれに見る熱狂を見せているゴルフ界。「俺も負けられない」と次なるヒーローの座を狙って闘志を燃やす若手がひとり―― 初シードを目指す阿久津未来也だ。

インパクトのある名前に見覚えのある方も多いのではないだろうか。読み方は“アクツ・ミキヤ”、字面が似ている堀川未来夢は日大ゴルフ部の先輩だ。そして、いま目指すはレギュラーツアー初優勝。トップレベルの技術を身につけるため訪れたのが、日大ゴルフ部の先輩、内藤雄士コーチのもと。丸山茂樹の米ツアー3勝をサポートしたカリスマコーチは、どんな金言を授けるのか!?

■本日のミッション『飛距離10ヤードアップ、270ヤードのバンカーを越えたい!』

2021年「東建ホームメイトカップ」では、売りのショット力を生かし、強風吹き荒れる東建多度で単独3位に入ったミキヤ。難コンディションでも安定感が光るプレーを見せたが、とりわけフェアウェイキープ率の高さがミキヤのストロングポイントだ。

内藤「切り返しとインパクトポイントの精度が高いからでしょう。さらに左足にウエイトを乗せてハンドファーストの形でインパクトを迎えた後、そのまま左サイドに振り抜いているから、曲がらないのも納得できる」

内藤コーチからもお墨付き。19年はフェアウェイキープ率62.6%(3位)、今シーズンも65.78(12位)とコントロール性が強みの一つだが、もう一歩伸ばしたいのが平均飛距離だ。

ミキヤ「ティショットで270ヤード付近のバンカーを気にしなくてすむように、10ヤードアップを目指したいんです」

19年には、(昨年は試合での計測がなかったため)ドライバーの平均飛距離は274.38ヤードの90位。飛距離が伸びれば攻め方の幅もグッと広がる。だが、ここで問題がひとつ…。

左肩を右肩よりも高くして構えるクセが、飛距離ロスの一因ではないかと悩んでいた。前回、アイアンショットの精度を上げるにはスイング改造は必要なし!という結論に至ったが、飛距離アップのためには、やっぱり変えたほうがいいのだろうか…。

ミキヤ「トップで頭の位置が少し上がるクセがあるんです。それがパワーのロスにつながり、飛距離が伸びない原因になっているのではとないかと思っています」

内藤「ドライバーショットでは、アイアンよりもダウンスイングの切り返しで、頭が左に動かないようだね。それと阿久津くんが思っているほど、トップで頭が上に動いているようには見えないけど」

ミキヤ「そうですか?」

内藤「もしかしたら、今回は頭が浮かないように意識したのかもしれないね。おそらく、いつもはもっと肩を回して左肩が入るトップなんだと思う。その結果、左肩がアゴを押すような形になり、頭が上がっていると感じるのでは? 頸椎が回り切っているところでさらに首を動かそうとするから、肩と一緒に頭が上がってしまうのでしょう」

頭が上がってしまうのは、肩が回りきっているからこその動作。決して悪いことではなく、しっかり捻転ができている証拠だという。

内藤「悪い例は、バックスイングと同時に頭が上がってしまうタイプ。上体を捻転しないままで手を高く上げる人は修正するべきだけど、阿久津くんはそうじゃないから心配いらない。ジョーダン・スピースやブルックス・ケプカも、左肩でアゴを押しているからね」

パワーロスにつながると考えていた動きは、むしろ世界のトップ選手に共通する動きだった!

ミキヤ「では、飛距離を上げるためにはどうしたらいいでしょうか?」

内藤「上体の動きは直すところがないけど、股関節周りが硬そうだから、そこを緩めて、下半身の筋肉を鍛えれば勝手に飛距離は伸びるはず。トレーニングも下半身中心にしてみては?」

クラブを速く振るためにと上半身メインでトレーニングしがちだが、土台となる下半身が重要、というのはプロ選手のあいだでもよく聞かれるワード。では具体的に下半身をどう鍛えるかというと、可動域を広げるトレーニングが大切だという。

海外のトッププレーヤーのスイングを正面から見ると、トップで右の肩甲骨が体の左サイドから見えるぐらいに上体を回しているが、その際、右の股関節にしっかりと上体を乗せている。ダウンスイングからインパクトにかけては、左の股関節を思い切り伸ばす動きが見られるが、ミキヤのスイングを見ると、下半身の動きがそれほど大きくない。

股関節周りの可動域を広げ、腸腰筋、中殿筋といった筋肉を鍛える。腰回りを太くすることで、ヘッドスピードが増して飛距離が伸びるというわけだ。

今回の収穫:

「飛距離アップには、スイング改造の前に下半身を鍛えよう!」

■阿久津未来也プロフィール

1995年3月17日生まれ、栃木県出身。

2016年にプロ転向、18年の「日本プロ」で自己最高の6位に入った。同年のQTで初めてファイナルに進出し、翌年はレギュラーツアーに本格参戦。賞金ランクは71位と、初シードにあと一歩まで迫った。

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