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実を結んだトミーイズム 惜敗後の山下美夢有に送られた中嶋常幸の教え

<KKT杯バンテリンレディス 最終日◇18日◇熊本空港カントリークラブ(熊本県)◇6501ヤード・パー72>

悲願の初優勝に涙を浮かべた山下美夢有。そこに込められたのは大切な人たちへの思いだった。「ここまで来ることができたのはたくさんの方々に支えられて、応援していただけたから。そういった気持ちがこみ上げてきました」と感謝が大粒の涙となって流れた。両親、地元の人々、グリーン脇で優勝を見守ってくれた仲間…。そして思い浮かべた人たちのなかには中嶋常幸の顔もあった。

初優勝…19歳の涙【大会ライブフォト】

このオフ、同級生とともに縁あって中嶋が3日間つきっ切りの合宿を行った。その時の教えは2つ。『重圧を楽しむこと』と『スコアへの意識』だった。

「コースマネジメントだったり、メンタル面もすごく教えていただいた。すごく勉強になりました。優勝争いをした時のお話をしてくださったのですが、そういうときは『プレッシャーを感じるとは思うけど、それを楽しみながらプレーしていった方がいいよ』と言われました。あとは、『もっとスコアに対して考えた方がいい』と」

さらにグリーン周りのことも。「だいぶアプローチの練習をした方がいいな」。そう言われてからは時間で言えば半日、練習の割合で言えばほとんどをショートゲームに割くようになった。「ショットは曲がるもんやと。それをどうカバーしていくかが大事」。苦手だった寄せはメキメキ上達。開幕戦にはすぐに効果を実感できるようになった。

結果に大きく表れたのが、4月の「ヤマハレディース葛城」。ツアー屈指の難コース・葛城ゴルフ倶楽部でチップインバーディをたびたび決めるなど、最後まで優勝争いを演じて2位となる。悔しさは当然あったが、それ以上に手応えがあった。連絡した中嶋にもお墨付きをもらった。「プレースタイルはいいと思う」。そして新たなアドバイス。「これからは疲れが出てくると思うから、意識をしっかり持ってやりなさい」。

それらの教えが実を結んだのが今大会だった。リズムよくプレーすることだけを心掛け、前回あった嫌な緊張もこの日は集中していたからかあまり感じることはなかった。気がつけば2位との差は5打。ここ一番で見せた集中力は、まさにトミーのそれだった。

この後は当然優勝報告となるのだが、「優勝することが出来ました!」という言葉に添えるのは「今回足りなかった部分について」。ストイックさも“師匠譲り”の19歳だった。(文・秋田義和)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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