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素晴らしいゴルフ人生を〜成人の日に思う〜【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

11日は、20歳を寿ぐ(ことほぐ)成人の日。多くの女子プロゴルファーが、全国各地でこの日を迎え、気持ちを新たにした。

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日本では法律上、大人として扱われる節目の記念日は、現在、1月の第2月曜日。高校卒業後、プロに転向した面々はすでに社会人として活躍している。たとえば、賞金の“稼ぎ頭”古江彩佳はすでにたった18試合で1億円以上の賞金を獲得しているし(生涯獲得賞金ツアー194位)西村優菜も約4796万円(同300位)でこれに続いている。20歳になったからといって大きく変わることはないのだろうが、それでも、振り袖姿で将来を見据えたプロが多い。

ウイルス感染拡大防止のため成人式そのものが中止や延期になった地域も多い。温暖な場所でのキャンプも計画しにくいため、地元でトレーニングと練習に明け暮れるプロがほとんどのようだ。

プロ入り後、すぐに活躍する女子プロが年々増える一方で、30歳前後でツアーを離れることを選ぶプロも増えている。ゴルフは息の長い生涯スポーツだといっても、長いあいだ第一線で戦い続けるのはたやすいことではない。子供の頃からゴルフ漬けだった生活を一新したい気持ちもわかる。個人の選択をとやかく言うつもりはない。それでも、10年後にもツアーでプレーしている選手が多いことを、そうでなくともゴルフを通した活動をしていてほしいと心から思う。

宮里藍、横峯さくららの世代の全盛時、こんな会話をした記憶がある。「彼女たちが30歳になった頃、何人がツアーに残っているのだろうか」と。宮里は、米ツアーで実績を残した後、32歳で現役引退して結婚し、ゴルフに関する仕事を続けている。対照的に「結婚したら引退する」と若い頃から言っていた横峯は、結婚後もプレーを続けている。現在、妊娠中で2月には出産予定だが、その後も復帰し、米国での優勝と日本での永久シード獲得を目指すという。ジュニア育成にも活動範囲を広げようとしている。

こんな風に生涯、付き合っていけるのが、ゴルフというスポーツの良さだ。スッパリとゴルフから離れて“第二の人生”を歩むのも悪くはないが、どっぷりでも、そうでなくとも人生の一部として付き合っていけるのがゴルフ。子供ができたら、プロにするためにではなく、教育のためにゴルフをさせるのもいい。ビジネスの相手とゴルフをするのは、ごく当たり前のことなのだから。

女子の場合、ツアーを目指そうとする年齢がどんどん低くなり、ゴルフのために何もかも犠牲にして育つケースも少なくない。自分がやりたくて始めたのならまだいいが、保護者に強要された場合などは「早く稼いでやめたい」と、感じることもあるようだ。だが、それでも、横峯のように「今が一番ゴルフが好き」と、気持ちが変わることも少なくない。自分の意志でプレーをし、自分のしたいように生きるようになれば、そう感じられるのかもしれない。

取材の中で多くの場合、ゴルフの目標だけでなく、人生の目標についても尋ねるようにしている。千差万別。だが、最近は「子供を産んでもツアーに出たい」という答えも、少しずつ増えている。様々な可能性を秘めた20歳が、この先、どんなふうに成長していく姿を見せてくれるのか。あっという間に流れていく歳月の中、それを見せてもらいたいと思う。

成人、おめでとうございます。

10年後、みなさんがどんな30歳になっているのか楽しみにしています。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>