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アース開催の裏に思わぬ問い合わせあり コースが対応に追われた内容とは?

新型コロナウイルス発生後、初の国内女子ツアーと注目を浴びた開幕戦「アース・モンダミンカップ」。その試合会場となったカメリアヒルズカントリークラブ(千葉県袖ヶ浦市)に大会を振り返っての感想などを聞いた。

同クラブ副支配人の粉川正樹さんは大会を終えて「まず、無事開催ができたことにほっとしていますし、ゴルフ場からの陽性反応者も出ず良かったです」と胸をなで下ろした。運営からの要望もあり例年に比べると人数は絞ったが、それでも従業員ら190人近い人数を投入したため気が気ではなかっただろう。大会後2週間続ける健康チェックでも陽性者は出ていないそうだ。

健康チェックやPCR検査を受けるなど、今年の大会については例年までとは全く別物と捉えている。誰にとっても初めての状況下、ゴルフ場のほか運営や日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)など皆が手探りで進めるしかなかったが大会自体はスムーズに進行した。だが、粉川さん自身も毎年コースから試合を見ているだけに、歓声が沸くはずの18番プレーオフには少し寂しさを感じたそうだ。

■想定していた通りだった?

ゴルフ場として最善の準備を尽くし臨んだ大会だが、コースとして想定していた内容と差はあったのか。「もう少しクラブハウスに人がいるのかなと思っていました。選手もすぐに帰ったりクラブハウスに密がなかったです」。随所にアルコール消毒液を設置し、空気清浄機を新たに導入するなどの事前準備は功を奏し、開催を行う中でリスク管理の意識が高まったと粉川さんは感じている。

いつもは関係者らも利用できるビュッフェスタイルのレストランは今年、選手の利用のみに制限された。対面でも安心して食事ができるようアクリル板を準備したが、選手は自分で食べ物を用意するなど利用はほとんどなかった。大会に関わる人すべてが感染拡大につながらないよう細心の注意を払っていたのが伺えたという。

雨により最終日として予定していた6月28日の競技は中止に、大会4日目は翌29日の月曜にずれこんだ。平日のため運営に携わるアース製薬の社員に代わり、ゴルフ場の従業員がホールスコアラーなど務めることとなったが、「例年もカバーに入ることはありますし、話し合いで対応できました」と問題はなかった様子。

例年と大きく違ったのは、コースへの問い合わせが増えたことだ。内容は今年から取り入れられた部分に集中。「成績の問い合わせやテレビ欄に中継がない、などが多かったですね」。特に年配の人から成績を知りたい、テレビ中継に関する電話が多くかかってきた。大会公式発表では4日間の視聴回数は合計677万3987回。視聴していた人からの評判も上々のようだがその裏ではテレビ観戦を楽しみにしていたり、ネット環境の無い人たちからの問い合わせが相次いでいた。

一方、ゴルフ場はネット中継の恩恵を感じている。「今年は例年に比べて予約がたくさん入ってきています。ゲスト予約も再開し増えました」。注目の大会とメディア露出が多かったうえ、インターネット中継で全国的に名前が知れたのではと予約数の増加を分析している。

■今後につなげる部分は?

コロナ禍での運営に自信をつけ、ノウハウもたまった様子。「うちが見本ではないが、参考にしてもらえたらやりやすいところもあるのでは」とコメントし、次の大会開催者らに期待をかける。アース・モンダミンカップ主催者らには「アース・モデル」を学ぼうとするツアー関係者からの問い合わせも相次いでいるらしい。次回大会と予定されているのは8月14日開幕の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」、続く開催を願ってやまない。

最後に来年の本大会に話を向けたい。2019年大会から改修された9番ホールに今年もプロたちは手を焼いたが、来年はもうひとつ見どころができるかもしれない。今週末からカメリアヒルズカントリークラブは、16番のグリーンを少し大きくするために手を加える。グリーンが整うのは順調にいけば来年5月ごろと、来年の「アース・モンダミンカップ」を意識してのこと。「新しい16番ホールでは面白いドラマが生まれてほしいですね」と粉川さん。来年の大会、16番ホールの戦いは、ファンが目の前で見られる状況になっていてほしい。

<ゴルフ情報ALBA.Net>