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ツアー現役最年長シード、51歳の藤田寛之は静岡県内でトレーニング、練習、釣りをして過ごす 「きっと引退後のほうが働いていると思います」【プロは今何してる?】

国内男子ゴルフツアーは、2020年と21年シーズンを統合し、8月20日開幕の「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップ」からの再開を目指している。今月16日に51歳の誕生日を迎えた現役最年長シード選手、藤田寛之はこの長いオフをどう過ごしているのか。電話取材を行った。

「何とか元気でやっています」。藤田はいま、所属している静岡県の葛城ゴルフ倶楽部で、開幕に向けて練習を行っている。「午前中はトレーニングをしたり(葛城GCの練習場の後ろに藤田専用のジムがある)、練習場で球を打ったりして、お昼に一度家に帰ってご飯を食べる。それからまたコースに行ってハーフラウンドしたり、球を打ったりしながら6時くらいに家に帰る。そんな生活を2、3カ月続けています」

緊急事態宣言中の葛城GCは、レストランと入浴施設の利用を禁止、会員及び会員同伴のプレーに限定して3密を防いでいた。藤田がコースの練習場に行くのは、すべての客がスタートした後で、午後ハーフラウンドするのも客がすべて出終わった後。ほとんど人と会うことはなかった。緊急事態宣言が解除された今も、基本的な一日のルーティンは変わっていない。

「これだけ葛城にずっといたことはないし、これだけ家にいることもない。こんな生活を続けていたら、試合に行くのが嫌になりそうです。毎日家にいて、トレーニングと練習をしているだけですから、すごく楽ですよね。きっと(競技)引退後の方がもっと働いていると思います。こんなに働かない生活なんてあり得ませんよね」。現状をそう分析する。

家庭より仕事優先だった藤田も「子供の習い事の送り迎えをしたり、宿題を見たりしていました」と子供と過ごす時間が増えた。高校生と小学5年生の息子たちもずっと家にいるとストレスがたまるからと、週末は自身が所有する12人乗りのクルーザーに乗って釣りに出かけた。「県外には行けないですけど、土日のどちらかは浜名湖とか海に行っていました。船で鱚(きす)や鯖(さば)を釣ったり。もちろん釣れないときもありますが。釣った魚は、その日か次の日に食卓に並びます」

7月に開催が予定されているツアー外競技の「JGTO共催ゴルフパートナーエキシビショントーナメント」には、「いまのところ出場するつもり」としながらも、ツアー開幕については「できないならできなくてもいい」と慎重な意見を持っている。

「極論ですけど、薬なりワクチンができるまでは、今シーズンがすべて中止という決定がされても、仕方がないと思います。我々は全国各地から集まって、いろんな場所に移動するわけです。このご時世を考えると、そこにポジティブな要素は出てこない。自分はそういう考えなので、今すぐプレーをしたいとか、ファンの前で喜んでもらいたいというのは、まだ何段階もクリアしなくてはいけない課題があるし、道は遠いと思っています。我々プロゴルファーが個人でできることは協力しますけど、今は個人でできることはない状況です。そこは難しいですよね」

そして最後にちょっと意地悪な質問をしてみた。最年長シードの藤田は51歳。年々体は思うように動かせなくなってくる。この期間を利用して体力も技術もアップできる20歳の1年と、体力維持に努める51歳の1年では、失う時間の価値が違うのではないかと。

「年齢的な部分を加味すると正直つらいですけど、今はそんなことを言っている場合ですか。選手一人一人の思いなんて、たいしたことがない。今年予定通りに開催されていたら、優勝していたかもしれないし、もしかしたら試合に行く飛行機が落ちたかもしれない、生きているだけで丸儲けかもしれない。いろいろ考えてもきりがないですし、しょうがない。そんな心境です」

<ゴルフ情報ALBA.Net>