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藍がつないだ親子の絆 実現しなかったかもしれない宮里優作“涙の抱擁” 【カメラマンが見た“男泣き”】

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内だけでなく世界各国で中止が余儀なくされているゴルフトーナメント。なかなか試合の臨場感を伝えることができない状況が続いていますが、少しでもトーナメントのアツい一瞬を味わってもらおうと、カメラマンが見た印象的な涙のシーンをご紹介。今回は、宮里優作が悲願の初優勝を遂げた、2013年「ゴルフ日本シリーズJTカップ」での一幕。村上航カメラマンに当時の様子を振り返ってもらった。

宮里優作選手がプロ11年目にして初優勝を挙げたのがこの大会。妹の藍さんや、父の優さんと抱き合って喜ぶ姿が感動的でしたが、このワンショットが実現するまでにひとつのドラマがありました。

優作選手といえばアマチュア時代からものすごく注目されていて、東北福祉大に在学中からプロトーナメントで何度も優勝争いをしていた選手。宮里3兄弟の中でも優作選手は別格で、プロになっても当然すぐに優勝すると期待されていました。ところが、何度も優勝争いをしているのに中々勝てず、いつの間にかプロ入りから11年。“なぜ勝てないんだろう”と誰もが思っていました。

そんな中、13年の日本シリーズで再び優勝のチャンスが。最終日、後続に3打差をつけて18番に入ったのですが、あの時の雰囲気はすごかった。見ていた全員、一緒に回っているプロですら、優作選手に勝ってほしいと思っていたのではと思うくらいでした。しかし、東京よみうりCCの18番は難易度の高いパー3で、リードはあってないようなもの。しかも、ティショットを左に曲げて、2打目もピンをオーバーしてボギーがほぼ確実。3パットもあり得るグリーンで、「またダメかもしれない…」という考えが頭をよぎる中での、チップインパーで優勝。

家族に見守られながらの悲願達成の瞬間でしたが、実は父の優さんは、最終日を見に来るつもりはなかったそうです。あとから藍さんに聞いたのですが、優さんは『自分が行くと(優作が)勝たない』というジンクスから沖縄に留まっていた。それを『勝つときは勝つんだから、関係ない!』と東京にいた藍さんが説得して会場になんとか連れだし、無事に見届けることができたそうです。

そのおかげで実現した、感動的なワンシーン。ですが、今振り返るとあれは間違いなく、カメラマン人生で一番もみくちゃだったと思います(笑)。

<ゴルフ情報ALBA.Net>