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自分のスイングのせいにばかりしていませんか? プロとアマの思考法の違いって?【プロキャディからの助け舟】

トーナメント会場にいる関係者のなかで、一番近くでプロゴルファーのプレーを見ているのがプロキャディ。そして唯一ラウンド中にプロにアドバイスを送れる存在でもある。そんなプロキャディだからこそ、我々アマチュアゴルファーのスコアアップにつながる“アドバイス”を知っているのではないか。今回話を聞いた栗永遼氏(25歳)は一昨年まで、プロコーチの南秀樹氏が代表を務める香川の3.7.3ゴルフアカデミー(ミナミゴルフアカデミー)で、インストラクターとしてアマチュアを教えながらプロキャディの仕事もしていた。昨年はキャディとして淺井咲希のツアー初優勝に貢献(自身もキャディで初優勝)、そしてプロコーチとして石井理緒のサポートも行っている。

淺井咲希が春に着たかったウェアは「チアリーダーみたい(笑)」

■スイングばかりに気を取られていませんか?

栗永氏は試合中止の発表が相次ぐ中、石井が住む新潟で合宿を張って練習を重ねていたが、緊急事態宣言が全国に拡大したタイミングで自宅のある香川に帰省。だが、解除されたことでまた新潟に戻り、「アース・モンダミンカップ」の予選会に向けて石井との練習を再開したという。

自粛期間には仲間と行っているYouTubeチャンネル(GOLF BASE TV)で、石川遼らのキャディを務める佐藤賢和氏、渋野日向子のキャディを務める定由早織氏とリモート対談を行うなど、プロキャディの認知度を高める活動を行っていた。

そんな栗永氏に『プロがやっていることでアマチュアゴルファーにも効果的なことってありますか?』と聞くと、以前インストラクターを務めていた経験も踏まえて答えてくれた。

「アマチュアの方はもっと様々なクラブを試した方がいいです」

どういうことだろうか。掘り下げて聞いてみる。

「アマチュアの方は、良いショットが打てないとどうしても“スイングが悪い”と考えがちです。でも、原因はスイングでなくクラブにある場合が多分にあります。傾向として多いのはオーバースペックですね。『6X』や『6S』のシャフトを使っていて、硬くて重いからしならせられない。そして体が開いて右に飛んで行ってしまう。だけど、体が開くといった部分しか注目せずに、スイングの修正をされている方を何人も見てきました。合っていないクラブでスイングを直すのは時間がかかりますし、直してもあまり意味がないんです。この場合、軽くて軟らかいシャフトに替えるだけで、出球はすぐに変わります」

プロでも毎週のように模索しているんですよ、と続ける。

「例えば淺井プロは、メジャーの週にも様々なクラブを試していました。今の状況では少し厳しい部分もあるかもしれませんが、アマチュアの方でも試打会に行けば様々なクラブを打つことができますし、試打クラブのレンタルサービスなどもあります。スイングのことばかり考えると、ゴルフが楽しくなくなります。鉛を1枚貼るだけで変わるのがクラブ。大げさではなく、練習と同じくらい道具選びにも時間を充てるとスコアは格段に良くなると思います」

では、プロはどんな基準でクラブを選んでいるのか。

「今は様々な計測器がありますからもちろん細かい数字も見ますが、プロは顔、振りやすさ、打感の3つに重きを置いていることが多いです。見た目が好きか、違和感がないか。同じモデルでも若干顔が違う場合もあるから、できればショップなどで見比べてほしいですね。また、たとえ数値は良くても感覚が悪いものはやっぱり良くないと思います。打ちやすいクラブというのが最優先です」

■アマチュアはベストショットから、プロは最悪のミスから考えている

そんなプロキャディ、プロコーチ、アマチュアを教えるインストラクターという様々な顔を持つ栗永氏に『プロとアマチュアのコースマネジメントの違い』を聞いてみると「プロは最低から考えて、アマチュアはベストから考えがち」という。

「スコアを考える上で減らさなきゃいけない3つがOB、池、3パット(120くらいが目標スコアなら4パットでも可)です。プロはミスが起きてもその3つが起こらないようにマネジメントしています。でも、アマチュアは逆で最高の結果を求めすぎ。持つ番手も“ナイスショット”が打てたときにピッタリのものを選ぶ傾向があります。あれだけショットが曲がらない片山晋呉さんでも、行ってはいけないところを考えて、ミスしてもそっちに行かないように攻めていました(栗永氏は昨年と一昨年のABCチャンピオンシップで片山のキャディを務めた)。基本はグリーンセンターでピンは狙いません。試合中は『俺がピンを狙おうとしたときにリスクが高いと思ったら止めてくれ』と言われていたくらいです」

もう一つ、栗永氏がアマチュアゴルファーのスコアアップの近道と考えているのが、目標スコアを逆算した攻め方を徹底することだという。

「例えば、ベストスコアが120の人が110を切りたいとしましょう。10打縮めなければいけないと思うかもしれませんが、全ホールダブルボギーでも108(72+36)。2つ貯金があるんです。そう考えれば、毎ホールトリプルボギーを打たないようにすればいいだけ。ティショットを林に打ち込んでも出せばいいし、フェアウェイバンカーに入れたってまだ余裕はある。とにかくOBにならないように打てばいいんです。OBに入れたらダボ以上はほぼ確定ですからね」

そのときに大事なのが『自分のミス』の傾向を頭に入れること。「スライサーで右に行きやすいのであれば、それを頭に入れたマネジメントをする。それでナイスショットが出たら万々歳です。いいイメージを持つことも大事ですが、最悪のミスも想定しておくと“大ケガ”がなくなります。ひいてはそれがスコアアップにつながりますよ!」

<ゴルフ情報ALBA.Net>