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ついに届いた開幕の“吉報”に上田桃子も一息 「やっと日常に戻れる」

本来であれば今週行われる予定だった国内女子ツアー「ヨネックスレディス」。その大会の前年女王・上田桃子が、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が開いたリモート記者会見に3日(水)出席した。この会見の最中には、6月25日に初日を迎える「アース・モンダミンカップ」が無観客ながら大会を開催する意向を発表。それを受けて、現在の喜びや不安についても明かした。

「率直にうれしい」。これが開口一番発した上田の言葉だった。「年末年始は(3月の)開幕に向け準備していた。それだけに(開幕戦の)ダイキンが中止になったのはショックだったし、今後どうなるのかなという不安が強かった」というなか、これまで滞在先の地元・熊本で相次ぐ中止報告を耳にしてきた。その状況が続くなか、やっと届いた吉報。「家にこれだけいるのは高校生以来なかった。こういう生活の方が非日常だったので、やっと日常に戻れる。これまで準備してきた蓄えを発散したい」と、いよいよ戦闘モードに入る。

この“延期期間”は九州で過ごしてきた。ダイキンの中止が発表された後は、師事する辻村明志(はるゆき)コーチらとともに宮崎でチーム合宿にも参加。しかし先の見えない状況のなか、「ずっとこの精神状態だと(気持ちが)もたない」と3月末には生まれ故郷へと戻り「一回ギアを落とした」。そこからは、ボールを打つのも日に1〜2時間で、それも毎日は行えない状況に。自宅でのトレーニングなどにも取り組みながら、時間を過ごしてきた。今も「一番大事なのは焦らないこと」と、ラウンドは週1〜2回程度に留めているが、「調子は悪くない。もともとダラダラと練習するタイプでもないし、ストレスなく練習できています」と、ここから急激にペースを上げることも特に考えていないという。

もちろん“不安”がないわけではない。「色々な場所から参加する選手がいる。それだけ人が集まると、当然(感染)リスクは高まる」。緊急事態宣言の解除後も耳にする、新たな感染のニュースなどは心を揺さぶる要因にもなる。しかし、「一人ひとりが自覚を持って、自分も感染しないように。検温や体調管理をみんなで共有しながら、一つの大会を成功させたい」と、感染防止につとめ全力でプレーする気持ちは変わらない。「ずっとストップしているわけにもいかない。(ツアーが再開した)韓国はいい指標。日本もそうなれれば」と、これをいいきっかけに、“日常”を取り戻したいのが本音だ。

それに加えて「一番の不安」と話したのが、無観客試合になること。「どういうマインドでプレーするのがベストなのか。声援や会場の一体感が、奇跡的なワンショットを生むこともある」。昨年は大型台風の影響で10月の「スタンレーレディス」がギャラリー無しで行われることになったが、それが今後ある程度の期間スタンダードになることも予想される。

「拍手が起きてないのに手をあげたり、ガッツポーズが出るのかも分からない。(スタンレーの時は)試合という感じではなかった。さびしいのが率直な気持ちですね」。だがインターネット中継を行うことも発表したアース・モンダミンを始め、まずはカメラを通じて、そのプレーを届けることを意識する。同じく無観客でスタートを切るプロ野球などの映像も確認し、モチベーションを保つ方法を探っていく。

この後は状況を見ながらではあるが、遅くとも開幕10日前までには東京へと場所を移し、コーチらとともに最終調整を行うことを目指している。「これだけ充電期間があると、試合をしたいという気持ちで満タン。不安のなか開幕を迎えるのと、“よしやるぞ”という気持ちで迎えるのは違う。ここまで満タンになったのは久しぶりですね」。開幕は3カ月以上遅れ、さらにシーズンは来年末まで続く長丁場になるなど、未知の部分は多い。だがツアー15勝目から1年が経った今、その表情からは充実ぶりがうかがえる。

<ゴルフ情報ALBA.Net>