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緊急事態宣言前と解除後 ゴルフ練習場はどう変わったのか

新型コロナウイルスの緊急事態宣言が5月25日、全国で全面解除された。一夜明けた26日の千葉の練習場では「いつもの時間と比べると利用客が多い」と解除後の利用客は増加。4月から継続的にALBA.Netが営業状況を確認している東京、神奈川、千葉、埼玉の70のゴルフ練習場は、解除を受けて営業時間を延長、6月1日から通常営業に戻す動きが9割を超えた。

一時は数件を残して、大部分の練習場が臨時休業していた東京だが、現在は休業を続けている施設はわずか。中にはこの休業を利用して施設改修を行っているところもある。緊急事態宣言解除を受けて、営業時間の延長や土日営業を解禁した施設がほとんどだが、通常営業までには至っていない。

緊急事態宣言が発令されるより前の3月中旬、「ロッテ葛西ゴルフ」はどこよりも早く休業を決めて関係者を驚かせた。現在も再開されておらず、運営元は「時期や状況については答えられません。決まり次第ホームページでお知らせします」としている。同施設から車で15分ほどの距離にあるメトログリーン東陽町も休業を続けていて、再開時期については同じく未定。「再開に向けた準備を初めています。時期についてはお話できず申し訳ありません」との回答だった。

ゴールデンウィーク前後から暫定的に営業を再開する練習場が出始めたが、その時期を練習場はどう判断したのだろう。利用客も多く人気の高い都内の某練習場では5月中旬から営業を再開。「緊急事態宣言発令前は営業していいかの判断も難しく、利用客も殺到していました。感染防止対策の準備が整ったため再開しました」とスタッフは話し、対応に窮した様子も見せる。

休業前は待ち時間が出るほど混みあっていたが、再開後の現在は落ち着きを取り戻している。利用客にも解除で心理的余裕が出てきたのかもしれない。

■ロッテ葛西の休業で近隣の練習場も休業する事態に

神奈川、千葉、埼玉では、臨時休業する練習場はほとんどなく、時間短縮や平日のみの営業を続けてきた。解除を受けて来月から通常の営業時間に戻す動きもある。

休業しても経営自体に問題はないところでも、休みにくい事情が他にあったようだ。「休業に入ったロッテ葛西ゴルフの利用客が周辺の練習場へ流れ、そこが休業せざるを得ない事態になったと聞きます。そうならないために休むときは一斉に休もうと周辺の練習場と連携を取っていました」。そう話すのは横浜にある練習場の関係者。実際、都内から練習に来る人も多かったという。「世間的に休業という流れでしたが、スポーツジムなどが休業になり練習場が健康面の維持に役立てると思いましたし、従業員やレッスンプロの雇用を考え、営業を続けました」。

密を避ける、消毒の徹底といった感染拡大防止措置を十分行い、運営をしていたが、営業をしていることへ苦情を言いに乗り込んでいる人や、飛沫を防ぐために設置した透明のアクリル板を越えて話してくる利用者の対応に手を焼くこともあった。アクリル板を撤去し、通常営業に戻す時期は、状況を見て判断するとし、「少なくとも夏ごろまでは続くのでは」とまだまだ緊張した日々が続く。

■インドア練習場は休業が続くところも

また、早い時期から営業自粛が迫られたインドア練習場だが、運営規模によって違いが出ている。都内で複数のインドア練習場などを運営するYGCグループは、緊急事態宣言の解除とともに再開したところ、休会していた会員が戻ってきたり、新会員が増えるなどの動きがあった。一方、屋外と屋内の練習場を運営する会社では、屋外練習場は再開しているものの、「インドア練習場の再開の目途は立っていない」という話もある。特にゴルフ以外の事業も展開する会社では、企業としてのイメージを問われることを危惧して再開を遅らせているのかもしれない。

練習場には営業に関する問い合わせが連日入っている。ゴルファーの希望に応えるため各練習場では消毒、換気はもちろんのこと打席の滞在時間に制限を設け、利用客へのマスク着用の呼びかけを行い営業している。また臨時休業や時短営業による収入減に加え、先のアクリル板設置といった感染防止のための費用と手間もかかっていることも分かった。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、練習場も日常を取り戻すにはまだ時間がかかりそうだ。

<ゴルフ情報ALBA.Net>