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成績は度外視のスイング改造 なぜそこまでやり続けるのか【片山晋呉 特別インタビュー】

2008年「日本オープン」で史上7人目となる永久シードに達した片山晋呉。現在ツアー通算31勝、今年で47歳を迎えたベテランは衰え知らずで、1997年から賞金シードを守り続けている。

しかし、優勝からは2017年の「ISPSハンダマッチプレー選手権」を最後に遠ざかっている。「50歳で勝つこと」を目指し、様々な練習法や器具を使って理想のスイングを追い求め、平均飛距離は順調にアップ。2019年も新スイングに取り組む姿が見られたが、向上し続ける原動力はどこにあるのか。ツアー2勝、スイングコーチや谷原秀人のキャディなどを務めてきた谷口拓也が片山の向上心に迫る!

谷口「晋呉さんにとって、スイング作りはゴルフをやっていく上でのモチベーションなんですか?」

片山「いや、ていうかさ…。オレが22歳でプロになったときに、『こうなりたいな』と思っていたものがあるじゃない?当然みんな、それはあると思う。たとえば25勝したいとか、賞金王をとりたいとか、いろいろね。自分が22歳で思っていたことは全部クリアしちゃっているから、大変といえば大変なのよ、逆に。次の目標を作るのがね。

そうなったときに新しい(スイング)理論を聞いたら、もう次はそれをするしかない。自分で、ハッキリ古いタイプのスイングだって分かっている。それが10年前のクラブだとピッタリはまっていたけど、今のクラブにははまらないから。モチベーションとかではなく、新しいことをやって『次にどうなるんだろう』と、そっちしかない」

谷口「ただ、新しいことに取り組みながら成績を出し続けるのは、すごく大変ですよね」

片山「だから、2019年はシードはとれないだろうなと思ってやっていたの。たぶん無理だろうなと思ったけど、秋くらいに結構はまってきたから。オレの体で300ヤードのキャリーはないけど、やっぱり280ちょっとキャリーするようになったらいいんじゃない?総距離が300越えるかもね。(※19年は賞金ランク30位、ドライバーの平均飛距離は285.46ヤードで終了)

ダンロップフェニックスにはもう20回くらい出ていて、それでも『ここまで飛んだのは初めて!』とかあった。12番(465ヤード・パー4)、16番(402ヤード・パー4)の右ドックとか、今までいったことないところまで行っていた。去年(2018年)より全然、変わっているよね」

谷口「2019年に新スイングに取り組んで、飛距離はどのくらい伸びているんですか?パナソニックオープンの東広野でも、9番(553ヤード・パー5)で2オンするようになって、すごく楽しくなったと聞きましたが」

片山「前は9番ホールで絶対に2オンしたことなかったからね。15ヤードくらいは前に行っていると思う。3番ウッドもアイアンも全部飛距離が伸びている。アイアンも、150ヤードっていったらフェアウェイど真ん中から9番アイアンを持つようになっている。そんなこと、今までは考えられない。20代でも持ったことなかったからね。

かといって、すごい振っているのかと聞かれたら振っていない。“踏んで”いるけど、“振って”いない。踏むけど振らない。踏んだら、スピードが出るんだよ。『マン振りしろ』って、オレらの時代は言ったじゃない。今は“マン踏み”。振るんじゃなくて、踏む。踏むほうがスピードが出るから、振らないの。10ヤードはキャリーが伸びている。ありえないよね」

谷口「そこまで変化があったんですね。その新スイングの極意、ぜひ教えていただけませんか?」

片山「10年くらい前は、スイングに答えがなかったの。その時に強かった人のスイングがいいと言われた時代が100年くらい続いていたよね。でも今は違って、答えが見つかっている。『こうやってクラブを動かしたら、絶対曲がって飛ばない』という答えがある。その答えに向かって、どういう方向にいくかという方法論が少し違うだけで、今は正解があるのよ」

片山晋呉がたどり着いた“正解”とは、いったい何なのか。完成しつつある“踏む”スイングの詳細を、片山自身がじっくりと解き明かす。

■片山晋呉 プロフィール

1973年生まれ、茨城県出身。1995年にプロ転向し、98年「サンコーグランドサマー」で初優勝。04年から3年連続で賞金王に輝き、08年の「日本オープン」でツアー25勝を達成し史上7人目の永久シード選手となった。現在ツアー通算31勝をマーク。18年は6年ぶりに未勝利に終わったが、2019年は3度のトップ10入りなど賞金ランク30位と存在感を示している。

■谷口拓也 プロフィール

1979年生まれ、徳島県出身。東北福祉大卒業後、03年にプロ転向。1年目から賞金シードを獲得し、04年にツアー初勝利。08年に2勝目をあげた。学生時代の先輩・谷原秀人のキャディを務めるなど活動の幅を広げている

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