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日本プロ開催の決断が与える影響【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

石川遼の劇的優勝という最高の形で決着がついた今年の「日本プロゴルフ選手権」。舞台となったいぶすきゴルフクラブのある指宿市も、大会前日に一度は避難勧告が出るほどの記録的な大雨。第

72ホール完遂したからこそ見れた、石川遼の雄叫び【写真】

月曜日の予備日までズレ込むことも視野に入れながら、決勝ラウンド36ホールを1日で行っての72ホール完遂だった。

今年で87回目を迎える歴史ある大会を、こうした形で終えたことの意味は大きい。大会主催の日本プロゴルフ協会(PGA)倉本昌弘会長が「批判があるのも理解している。会場付近でなにかあれば、即刻中止にするべきだと思っている」と腹をくくっての決断。石川が、選手会長として大会中止を訴えたという経緯もあった。

程度にもよるが、災害時にエンターテインメントであるスポーツイベントを行うか否かは、常に難しい判断が迫られる。ギャラリーや選手、関係者の生命そのものが危険にさらされる場合はもちろん中止すべきだが、そこまでいかない場合にどうするか…。開催を選んでも、中止を決断しても、批判は必ず起こってくる。

今回は、結果オーライ。昨年の日本アマが台風によって早々に競技不成立となり、歴史上初めて天候によって結果が残らなかったこととは対照的だ。と、同時に、テレビ中継などの都合を優先させ、日頃から比較的安易に大会短縮などを決めがちな日本のゴルフトーナメントのあり方に一石を投じたのも事実だ。

前述のように、日本プロには予備日が設けられていた。公式戦では、予備日があることがほとんどだが、日本でこれが使われるケースは極めて少ない。予備日のない試合ならなおさら、あっさりと短縮などになりがちだ。

屋外スポーツだから、天候に左右されるのは仕方ない。それは大前提だ。だが、興行である以上、最優先で考えなくてはいけないのはギャラリーのこと。安全を最優先にしつつ、ギャラリーの期待についてまず、考える。これが基本だ。スポンサーやテレビの事情は二の次であるべきなのに、ここをはき違えることが多いから、おかしなことになってしまう。

開催しても、中止にしても、批判を受けるのは覚悟の上。状況については常にディスクローズする。これが、開催を決定する責任者のスタンスでなければいけない。

日本のスポンサートーナメントは、主催者が協会や機構(LPGA、JGTO)でないことがほとんどだ。だから、開催をどうするかはスポンサーと相談して、そちらの事情を優先せざるを得なくなる。こうなると、ギャラリーの都合でも選手の事情でもなく、スポンサーの立場が最優先になってしまい、話がおかしくなってくる。

そのあたりを鑑みても、大会はすべて、ツアーが主催者になるのがあるべき姿。公平な立場で、ギャラリー優先で物事を決断するためにも、女子、男子ともに各大会を自らが主催する形を早急に作らなければならない。悪天候下での日本プロ72ホール完遂で、各ツアーがその必要性をきちんと認識し、対応することを願うばかりだ。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>