このエントリーをはてなブックマークに追加

渋野日向子が教えてくれた笑顔の効能【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】

プロゴルファーにとって笑顔とはなんだろう。「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」でツアー初優勝を飾った渋野日向子の笑顔を見て、そう考えた。渋野自身、勝因について「笑顔ですね」と、語っている。元々、喜怒哀楽が激しいタイプだったが、プロ入り後「感情を出すとスコアを崩すことが多い」という経験を経て、笑顔でプレーすることを心がけるようになったという。

ドレス姿でも笑顔です!【写真】

今季の初めに取材した時、渋野がしきりに口にしていたのが「練習は裏切らない」という言葉だった。渋野のあの自然な笑顔は、この言葉の延長線上にある。何度も挫折を経験し、練習に練習を重ねてそこからはい上がる。プロアスリートなら、多くが経験する道。だからこそ、この言葉をこれまで数えきれないほどの人間が口にしてきた。だが、裏切らないはずの練習も、大事な場面で結果につなげられないことは少なくない。緊張感から自分のプレーができなくなるからだ。練習は裏切らないが、自分自身が邪魔をしてしまう場合だ。

特に、止まっている球を自ら動いて打つゴルフでは、それが顕著に表れる。ショットとショットの間の、歩いたり、待ったり、考えたりする時間の方がはるかに長いゴルフ。これも含めてのプレーなのはいうまでもないが、18ホールにかかる5時間前後のセルフコントロールは実に難しい。集中しなければならない場面とリラックスしたほうがいい場面のメリハリ。そのために、プレー中の笑顔を心がける選手は少なくない。最初は無理な笑顔でも、だんだんそれが自然になり、リラックスと集中のメリハリをコントロールできるようになる。喜怒哀楽を表に出すことで、自ら崩れてしまうのとは正反対。渋野は、かつての自分を封印し、それを貫くことで結果につなげた。

プレーを見ている側はどうだろう。プロのプレーのすごさを見たいのはもちろんだが、その表情や態度についても注目していることが多い。試合中のプレーヤー同士は想像以上に会話を交わしていることも多いが、逆に全く話をせずに自分の世界につかる者もいる。緊張感漂う真剣勝負の厳しい表情にひきつけられればひきつけられるほど、その合間の笑顔は魅力的に映る。ましてや、プレーが終わった後のファンの前での満面の笑みに魅せられるのはいうまでもない。

プレーヤー自身にとっても、ファンにとっても、得るところが多い笑顔。もちろん、プレースタイルによって無理をすることはないが、その効果がどれほど大きいか、渋野は身を持って教えてくれた。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>